定年退職後の生活を充実させるためには、早めの準備が欠かせません。お金に関しては特に「支出」「収入」「資産」の3つのポイントに目を向け、工夫して備えることが重要です。
支出の見直しを行い、無駄を省く
現役時代は無駄な支出も気にならないこともあるかもしれませんが、定年時には無駄を省いた家計を整えたいものです。そのために、50代になったら定期的な支出の見直しを行いましょう。毎月の支出の中で削減できる項目はないかを見極めます。特に注目すべきは固定費として出ていく費用です。例えば、「保険」や「住宅ローン」などが該当します。
生命保険の見直し
子供が独立している場合、生命保険の保険金額を見直すタイミングです。お子さんの将来の学費や社会人になるまでの生活費、さらには残された配偶者の生活費を考慮して、現在の生命保険の保険金額が適切なものかどうかを見極めましょう。保険の見直しは大変効果的な手段ですので、現在の保険金額が本当に必要な額なのかを検討してみましょう。
医療保険の見直し
加入している医療保険が、現在の医療環境に適しているかを確認しましょう。過去に加入した保険は入院給付金の待機期間が長かったり、入院給付日数が多かったりすることがあります。最近では日帰り入院や平均在院日数の減少が進んでいるため、保険内容を見直す必要があるかもしれません。公的な健康保険に加入している場合は、自己負担上限が設定されており、保険会社の医療保険は公的保険ではカバーされない額を補う役割を果たしています。必要のない保障は削り、適切な保障に見直すことを考えましょう。
住宅ローンの見直し
住宅ローンの金利を見直すことで、大きな節約ができます。金利の高い住宅ローンを金利の低いローンに借り換えることで、返済総額を減らすことができます。50代になったら、住宅ローンの見直しを検討しましょう。銀行によっては借り換えのシミュレーションをWEB上で行える場合もあるので、試算してみると良いでしょう。
収入を確保するための戦略を考える
定年退職後の収入は重要な問題です。60歳定年の場合、年金の受給開始は通常65歳ですので、その間は無収入となってしまいます。収入を確保するためには次の2つのアプローチが考えられます。
会社での継続雇用を考える
会社での継続雇用を望む場合、肩書や給与の減額について覚悟しておく必要があります。会社と話し合い、希望する条件で働くことができるか交渉してみると良いでしょう。
新たな収入源を見つける「パラレルキャリア」の形成
定年後に会社に雇われず自分らしい生き方を追求する場合、会社以外の立ち位置を確保することが重要です。副業を始める、新たなコミュニケーションを築くなど、多様な収入源を考えることが大切です。また、社会とのつながりを持ちながら新たな可能性を見出すことも収入を確保する手段として有効です。
資産形成のために税制優遇制度を活用する
定年後に資産を増やすことは難しいため、現役時代から資産形成を考える必要があります。その際に活用したいのが、NISA(少額投資非課税制度)とiDeCo(個人型確定拠出年金)です。これらの制度は税制面での優遇があるため、資産形成に有利な手段として利用されています。
NISAの活用
NISAは、株式や投資信託などの金融商品に最大年間40万円まで投資できる制度です。投資した資産の運用益が非課税となるため、将来の資産形成に向けて魅力的な手段です。特に50代から取り組むことで、長期的な運用が可能となります。2024年からは新NISA制度が始まり、年間120万円までの投資が可能となるため、より多額の投資が可能となります。
iDeCoの活用
iDeCoは、個人型確定拠出年金の略称で、退職後の生活資金として活用するための制度です。iDeCoには所得控除があり、年間40万円までの掛金が所得税の控除対象となります。また、運用益も非課税となるため、税制面でのメリットが大きいです。定年までに積み立てを始めることで、退職後の安定した生活を送るための資産を形成することができます。
まとめ
50代から始める定年退職後の準備には、「支出」「収入」「資産」の3つのポイントを押さえることが重要です。支出の見直しで無駄を省き、将来に備えた家計を整えること、収入の確保策を考えて新たな収入源を見つけること、そして資産形成のためにNISAやiDeCoなどの税制優遇制度を活用することが大切です。さらに、家族や周囲との人間関係にも配慮し、定年退職後の充実した生活を築く準備を進めていきましょう。
多くの会社員にとって、定年退職は避けられない大きなライフイベントです。しかし、50代から早めの準備を始めることで、安心して新たな人生のスタートを切ることができるでしょう。定年退職後の生活をより豊かにするために、今から準備を始めてみてください。